127年もの社歴を誇る東京・銀座の正規時計宝飾品専門店「天賞堂」技術部には、1級時計技能士でクロノグラフやトゥールビヨンなどのコンプリケーション(複雑時計)も扱うことができる、在籍50年を超え、現在は嘱託の唐牛茂さん(写真)がいます。
「長いキャリアから得た多くの引き出しは持っていますが、時計の修理においては現在でも苦労の連続ですよ」と唐牛さんはいう。
ベテランでありながらも、謙虚な心で仕事に挑むその姿勢から、逆に大きな安心感を与えてくれます。
続けて、「メーカー対応ができなくなった、古いモデルも扱いますが、もちろんその全てを治せるわけではありません。お見積もりの段階でムーブメントを点検して、少なくとも次のオーバーホールまでの4~5年使えると判断した場合に、お客様の確認を行った上で預からせてもらいます。交換パーツが生じた場合、その準備はできませんし、保証もできませんよと伝え、ご理解頂けた場合です」とも。
親が天賞堂で買って使い、現在は形見となった古いオメガなどが、それを引き継いだ次世代の意志により唐牛さんの元に戻ってくることもあるという。
現在、天賞堂技術部には、機械式時計全般を手掛ける唐牛さんを筆頭に、クオーツウォッチを担当する若い技術者の計3人が在籍する。「もう半世紀も経ちますが、私が入社当時から天賞堂全体も技術部も明るく活気があり、いい先輩に恵まれたのです。こうした職場環境も天賞堂の伝統です」と唐牛さん。
技術力だけでなく、人間性までも引き継がれる点も素晴らしいと思いました。
天賞堂
東京都中央区銀座4-3-9
03-3562-0022
(営)11:00~19:30(月~土)
10:30~19:00(日・祝) 無休
公式サイト/
http://www.tenshodo.co.jp/