タグ・ホイヤー「カレラ キャリバー360」が受賞
第6回『ジュネーブ ウォッチ・グランプリ』(Le grand Prix d’horlogerie de Geneve )が2006年11月9日に催され、専門家やジャーナリスト、リテーラー、歴史学者らで構成される国際審査員団により、タグ・ホイヤーの「カレラ キャリバー360」がスポーツウォッチ部門で受賞しました。
今回の受賞でタグ・ホイヤーは、同グランプリが創設されて以来、6年間で4度目という快挙を成し遂げました。
「カレラキャリバー360」は、毎時/36万回という世界最速かつ精密な振動数を誇るタイムピース。今回は、世界の一流時計ブランドからノミネートされた、10モデルの候補を抑えての受賞となりました。
今回の受賞は1914年、自社の時計職人たちに10分の1秒まで計測可能なストップウォッチ作りに挑戦させたタグ・ホイヤー3代目当主シャルル-オーギュスト・ホイヤー氏(1896-1974年)を称賛するもの。
1896年の五輪100メートル走で、5分の1秒までの計測という、公式計時の完璧さを追求したいと考えた国際オリンピック委員会の要望もあって、2年後の1916年10月2日にシャルル-オーギュスト・ホイヤー氏は知的財産庁に、100分の1秒まで正確に計測できるストップウォッチの特許を申請しました。
振動数毎時36万回で、当時の機械式ストップウォッチとしては驚異的な記録。
その数週間後、100分の1秒まで計測可能な「マイクログラフ」(写真)と、50分の1秒まで正確に計れる「スプリット マイクログラフ」がホイヤーのカタログに加わりました(当時の価格は、それぞれ100スイスフラン、90スイスフラン)。
これらのモデルは1966年、タグ・ホイヤーが再び世界初となる1000分の1秒まで計測の電子計時機器「マイクロタイマー」を開発し、機械式計時機器に取って代わるまで製造が続けられました。
これらのモデルによりタグ・ホイヤーは、1920年代の五輪オフィシャル・タイムキーパーに選ばれることとなりました。
今回、受賞した「カレラ キャリバー360」を、現代のタグ・ホイヤーの職人たちが考案し開発成し得たのも、このような比類ないイノベーターとしての遺産があったからこそでしょう。
2006年の世界時計博「バーゼルワールド2006」で、360本限定モデルとして発表された「カレラ キャリバー360は、2005年に発表されたコンセプト ウォッチ「キャリバー360コンセプト クロノグラフ」を、よりグレードアップさせたモデル。
100分の1秒まで計測・表示可能な世界初の機械式リスト・クロノグラフ。
3つの特許を取得した、この驚異的なムーブメントには230以上の部品が使用されており、通常の条件下では標準速度(毎時28,800振動)での動作、クロノグラフモードでは途方もないスピード(毎時360,000振動)での動作を可能にする2組のエスケープメントメカニズムのほか、大幅に軽量・小型化されたヘアスプリングとエスケープメントメカニズムが搭載。時計の36万振動とは、自動車に例えるなら、ポルシェやフェラーリのような最高級スポーツカーのエンジンが、現在の7500回転ではなく、7万5000回転という驚くべき回転数を実現しているようなものといえます。